ウィングチップのコンビシューズ

日中の穏やかな空気と、夜の冷たい空気。何に袖を通そうか悩みつつ、春本番にワクワクする季節です。

そんな季節を鮮やかに彩ってくれる一足を、本日お客様にお渡ししました。

キャメルとネイビーのコンビシューズ。キャメルはゾンタ社のオールドイングランド、ネイビーはコンチェリア800社のベルーガを使っております。

 

デザインは穴飾り(メダリオン、パーフォレーション)などの装飾を用いないウィングチップです。

 

ツヤ消しゴールドの外ハトメ仕様。靴紐は全体のバランスを考慮して、ネイビーをお選びいただきました。

 

底材はビブラム社の700ソール。

 

底周りはストームウェルトでボリュームを出しました。

「キャメルとネイビーのコンビ」「ウィングチップ」「ボリュームがある底周り」それぞれ個性的な仕様ですが、良いバランスにまとまりました。「そのまま履いて行きますね」とお履きになって外に出られたT様。本日のコーディネートにも非常にマッチしていて、とても素敵でした。色々な靴、服を楽しまれているT様ならではの一足です。

デザイン、履き心地ともにお気に召していただき、嬉しい限りです。とはいえ革靴は履き始めてからがスタート。履き心地、靴のコンデションなど、継続してチェックをさせていただければと思います。この度はご注文いただき、誠にありがとうございました。

 

こちらのコンビシューズと同仕様の9分仕立てオーダーシューズ

価格:¥97,600(税込)

納期:ご注文から約3ヶ月

靴の製作に入るまで

昨日は靴の仕上げをご紹介しましたので、今回は靴の製作に入るまでのお話をしたいと思います。

 

足の計測はメジャーなどを使って行います。

計測したデータを元に、足に合ったサイズのサンプルシューズをご用意します。実際に履いて外を歩いていただき、フィッティングを確認します。

 

木型を削ることはできませんが、親指や小指などが当たる場合はこのような調整を施します。

 

お選びいただいたサイズ、デザインの型紙に合わせて革をおおよその形に裁断(荒裁ち)します。調整した木型、荒裁ちした革、中底などの副資材はまとめてANCHOR BRIDEさんのアトリエに送ります。ここまでが靴の製作をスタートしてもらうまでの工程です。

私は靴を形にできる職人ではありませんが、より良いフィッティングやお客様への十分なご提案のために上記の工程を自身で担当しています。このような流れがお客様と職人さんの橋渡しや、オーダーで感じてしまう敷居の高さの払拭につながればと考えております。

2017年3月の営業スケジュール

大和市アトリエショップの営業スケジュールです。基本的には土日にアトリエショップをオープンいたします。ご来店前には予めご連絡をお願いいたします。

3月4日(土)・5日(日) 12:30 〜 20:00

3月11日(土)・12日(日) 12:30 〜 20:00

3月18日(土)・19日(日) 12:30 〜 20:00

※19日(日)は休業させていただきます。

3月25日(土)・26日(日) 12:30 〜 20:00

靴の仕上げ

日中の陽射しは既に春の暖かさです。

庭に出ると香りも春。色々な花が咲き始めていました。

 

先日、昨年オーダーをしていただいた靴が神戸から届きました。ここから最後の仕上げです。

まずは半敷き(ソックシート)をセッティング。

 

乳化性のクリームで革のコンディションを整え、磨きます。ご要望があれば油性のワックスで更に磨き上げます。

 

最後にそれぞれの靴に合わせた長さで靴ひもをカット。両端を専用の金属パーツで留めて、穴に通します。これでお客様に履いていただける状態になりました。

革靴はお客様に履き始めていただいてからが本当のスタートですので、ここでホッとすることはできません。とはいえご注文いただいた靴が綺麗に形になった嬉しさは何とも言えないものです。ご注文いただいたお客様、靴を製作していただいたANCHOR BRIDGEさん、本当にありがとうございます。完成した靴とともに、お客様のご来店をお待ちしております。

既製ラインの外羽根プレーントゥ

先週末イベントを行った仲町台のEuphonicaさんでは、既製品の外羽根プレーントゥを継続して置いていただいております。

こちらは私物でして、週1~2回のペースで1年半ほど履いてきました。改めてこの靴について詳細を…と思っていたのですが、タイミングを同じくして店主の井本さんが完璧な紹介をしてくださいました。Euphonicaさんのブログ、是非ご覧ください。

 

とはいえ私が何も語らないわけにはいきません。

私は「しばらく履いていくとどうなるのか?」「どう付き合っていくと良いのか?」といった視点のお話をしたいと思います。

 

甲革はオイルを含んだ革でして、よほどの雨でなければ天候を気にせず履けます。この靴も何度か雨に降られていますが、表面を拭いてきちんと乾燥させてあげれば問題ありませんでした。もし大雨に降られた時は、全体をしっかり水拭きをしてから乾燥をさせます。

日々のお手入れの基本はブラッシング。週1~2回のペースで履くようでしたら、月に1回ほど水拭きもしくは水性クリーナーでさっと拭いてからクリームを塗ってあげてください。クリームの塗り過ぎにはくれぐれもご注意を。

個体差やフィッティングの具合にもよりますが、屈曲する部分のシワの入り方は画像の通りです。クロム鞣しのツルっとした革に比べると深く入ってしまいました。

 

履き込んでいけば、このようにソールがすり減ってきます。

本底のビブラム2810ソールはヒールが一体成型されているため、ヒール部分のみを取り外しての交換はできません。すり減ったヒールを修理する場合は「傾斜板」という修理部材を使います。継ぎ目が残りますが、すり減った部分の厚みを戻すことができます。部材を持っている修理屋さんであれば、特別な修理店でなくても対応してくれます。

さらに履き込んでソール前方のすり減りが進み、グリップ力が低下した時はオールソール修理(本底の全張り替え)が必要です。オールソール修理の場合は私にお預けください。靴の製作先に、同じ部材を使った修理を依頼することができますので。

この既製プレーントゥは肩肘張らずに履ける、汎用性の高い一足になればとの思いで形にしてもらった靴です。相性の問題はもちろんありますが、足なりの木型、人の手で成型された優しい履き心地を感じていただければ幸いです。アトリエショップでは外で試し履きができるサンプルシューズ(サイズは23~27)がございますので、ご興味を持たれた方は一度お試しください。

 

既製ラインは外羽根のプレーントゥのデザインで色は黒のみ。価格は税込¥59,400です。

アトリエショップの現在庫は24・25.5・26.5・27の4サイズです。

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