互いに学び、知り…

本日からアトリエショップをオープンしております。

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日中は風もなく穏やか。日射しが暖かく、暖房無しでも過ごすことができました。

自宅兼用のアトリエショップではありますが、リラックスして革靴などのご相談やお話ができるような環境を作り続けていきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

移転や改装で諸々の整理をする中、唯一全巻を所有している漫画「もやしもん」に目を通してしまいました。もちろん一部のみではありますが。

「もやしもん」は菌が見え、その菌と会話もできる主人公の大学生活を描いた作品。読み進める中で、お酒を中心とした発酵食品について知ることもできます。発酵や食について語られる中では興味深い表現が所々に見られ、ふと読み返したくなります。

消費者と売り手は互いに学び、知り、チェックし合い、支え合うのが正しい考えなんだと思うよ

これはコミックス9巻での担当教授の言葉。最初に読んだ時も、読み返した今も、思わずこのページで手を止めてしまいました。

革靴に携わる者としてきちんとした知識を伝えつつ、お客様からも学び、知る。”互いに”の姿勢を忘れず、精進していかなければと思わせてくれます。

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革靴との付き合い方のカテゴリでは、革靴を長く愛用するための方法や考え方をお伝えしております。既に革靴を愛用している方はもちろん、お気に入りの一足を初めて見つけたという方にもご一読いただければ幸いです。

外羽根

delightful toolの靴は全て紐で締めるタイプで「外羽根」というスタイルです。外羽根は海外ではDerby(ダービー)やBlucher(ブルーチャー)と呼ばれているようです。

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紐を通す穴が空いている部分が、ガバッと外に開く。これが外羽根の特徴です。

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ガバッと外に開く構造は、外羽根のポイント。これが脱ぎ履きのしやすさ、甲周りのフィット感の調節のしやすさにつながっています。

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このような機能性もあって、delightful toolでは外羽根を基本スタイルとしています。

とはいえ外羽根を基本スタイルとしたのは見た目の好みも大きいです。カジュアル、カントリーといった要素が含まれるdelightful toolの靴には、やはり外羽根がよく似合う。そう考えて外羽根を選んでいます。

BELUGA再考

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柔らかく、履き始めから足馴染みが良い革。

 

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柔らかいといっても十分な厚みがあるので、履いた時に「フニャフニャで頼りない」といった印象はありません。

 

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表面に凹凸があるシボ革は、ツルっとした革に比べて傷が目立ちにくいです。まさに日常使いに最適な革。

 

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木型の丸みと合わさって、柔らかい印象の靴に仕上がります。

 

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色は黒、紺、茶の3色。以前ご紹介した通り、靴クリームで色の変化が出やすい革です。特に茶色はクリームによる色の変化が顕著です。

BELUGAの魅力、ポイントを改めて書き並べてみました。こうして振り返ってみると、昨日ご紹介した「ロウを引いていない平紐」と似た良さがある革なのかなと思います。穏やか、素朴な表情でありながら、機能性と出過ぎない個性を兼ね備えている。そんな共通点が見えてきました。

平紐

保管していた靴紐が絡まりそうになっていたので、綺麗に巻き直しました。

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delightful toolでは、このような平紐をロールで管理しています。ここからオーダーをしていただいた靴に合わせて、カットと加工(ほつれないように両端を金具で)をします。

 

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ロウを引いていない平紐がdelightful toolの標準仕様です。使い始めから引き締めがしやすく、ほどけにくいというメリット(+私の好み)からこのタイプの紐を選びました。ロウ引きの紐に比べて強度の面では多少デメリットがありますが、靴紐が馴染むまで頻繁に結ぶ直す面倒さを考えての結果です。

 

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ちなみにこの紐はしばらく使っていくと、このように見た目が細くなります。引き締めを繰り返して紐が引っ張られることで、若干伸びて、太さにも変化が出たと考えられます。実は新品の状態はちょっと太いかなと感じていたので、ちょうど良かったと思っています。

普段平紐を使われない方も、一度騙されたと思って使ってみてください。平紐の思わぬ魅力や使い心地に気づいていただけるかもしれません。

水との付き合い方

日中の気温は上がっていますが風が強いです。夜には気温が下がりそうですし、まだまだ防寒対策は欠かせません。

防寒対策のポイント、首回り。チクチクが苦手ということもあって、私はこんなストールを使っています。

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こちらはm’s braqueのセネガルストール。独特の風合い、着用感、どれも気に入っています。

新品の時はもっと光沢がありましたが、水に通すことでこのような質感に変化してきました。「水を通せる」ことはストールを選ぶ際の大切なポイント。手持ちのストールは水を通せるものばかりですので、気軽に洗えていつでも快適です。

 

さて、この「水を通せる」というのは革(革靴)選びでも大切なポイントです。

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「水を通せる」と言うと大げさですが、ある程度水を吸ってくれる革の方が何かと扱いやすいです。

雨や雪で革靴が濡れたタイミングで、表面に白い汚れが浮いてくる”塩浮き”や、凹凸ができてしまう”銀浮き”といったトラブル。これらは革靴を水拭きや水洗いすることで解決できるケースが多いです。そのため革表面の加工などが強くて水を通しにくい革は、この手のトラブルの対応に困ってしまうのです。また日常のメンテナンスにおいても水を通してくれる革の方が、クリームによる補色がしやすかったりと手入れのやり甲斐もあります。

水は革の大敵ではなく、上手く付き合っていくもの。そのように考えていただくと、革靴をもっと楽しむことができると思います。

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