セメンテッド、マッケイ、グッドイヤーウェルテッド、ハンドソーンウェルテッド…
革靴に興味を持って色々検索するか、靴雑誌を開けばほぼ確実に目にするワード達です。
上記のワードは全て「靴の製法」です。靴の製法というのは靴の上部(足を包む部分、アッパーと呼びます)と底材を接合する方法のこと。今回はそれぞれの製法の構造的な説明は省かせていただきますが、セメンテッド→マッケイ→グッドイヤーウェルテッド→ハンドソーンウェルテッドの順に製造における工程数が増えますし、人の手がかかります。ですので製法以外の条件が同等であれば、ハンドソーンウェルテッドの靴が一番高価になります。
※マッケイ製法とハンドソーンウェルテッド製法については、以前のブログでご紹介しております。
よくある誤解
ここで陥りがちなのが「工程数が多く、価格も高い製法で作られた靴が良い」という誤解です。例えばグッドイヤーウェルテッドの靴がマッケイの靴より絶対に優れていると捉えてしまうこと。これは実はもったいないです。靴の製法に関しては「明確な優劣は無い」と捉えていただいた方が、良い靴選びができます。
欲しい革靴のイメージが大切
大切なのはどんな革靴が欲しくて、どのように履きたいのか。なんとなくでも構いませんので、靴屋さんに行く前にイメージしてください。きちんとした靴屋さん、スタッフさんであれば的確なコミュニケーションでそのイメージを把握してくれるはずです。
「すっきりスマートな印象の靴」が欲しければ、お勧めされる靴はマッケイ製法かもしれません。
「長時間歩くため靴」が欲しければ、お勧めされる靴はグッドイヤーウェルテッド製法かもしれません。
「最初から柔らかく、価格が抑え目の靴」が欲しければ、お勧めされる靴はセメンテッド製法かもしれません。
靴の製法とは「この製法だから良い」ではなく、「(価格も含めて)このような靴にしたいからこの製法」として作る際に選ぶものです。ですので靴をお選びになる際も「この製法ありき」ではなく、「このように履きたいからこの製法」と考えると自然な流れで良いなと思います。もちろんこのご提案をきちんとするのは我々靴を販売するものの役割です。知識は必要ございませんので、ストレートに「こんな形、履き心地の靴が欲しい」とお伝えください。