「5万のオーダーと30万のオーダーって何が違うの?」
革靴のオーダーに興味を持たれた方であれば疑問に思うはずです。
接客・販売の体制、製作する環境、素材、工程数、作り手の考え…などなど様々な要素が絡み合って最終価格は決まっています。そこで工程数にクローズアップした「オーダーシューズの捉え方」というページを作ってみました。これが全てではありませんが、ご参考にしていただければ幸いです。
taro terada
「5万のオーダーと30万のオーダーって何が違うの?」
革靴のオーダーに興味を持たれた方であれば疑問に思うはずです。
接客・販売の体制、製作する環境、素材、工程数、作り手の考え…などなど様々な要素が絡み合って最終価格は決まっています。そこで工程数にクローズアップした「オーダーシューズの捉え方」というページを作ってみました。これが全てではありませんが、ご参考にしていただければ幸いです。
今回はイタリアのタンナー・コンチェリア800社のBELUGAという革を掘り下げてみたいと思います。
色は黒、茶、紺の3色からお選びいただけます。
タンニン鞣しの型押し革で、このような表情をしています。
BELUGAの茶色はクリームなどで仕上げるとツヤはもちろんですが、色の変化が出やすい革です。
色がついた乳化性クリーム(今回はM.モゥブレイ・シュークリームジャーのレッドマホガニーを使用)を塗り込み、ブラシで馴染ませてみます。
向かって左がクリームを塗った後です。
さらに全体にクリームを塗り広げました。
今回は色つきのクリームで赤味を足して、ツヤを出してみました。色を変化させずにツヤだけを出すなら無色のクリーム、ツヤも必要なければデリケートクリームのみで仕上げる方法もあります。BELUGAはどのように手入れして、変化をさせていくかを考えることが面白い素材だと思います。「このクリームだとどんな変化が出るのか?」疑問が湧いた時には、革の端切れを使って店頭で確認もできます。お気軽にお声掛けください。
久しぶりにニットカーディガンに袖を通しました。柔らかい色、優しい雰囲気のニットを着ていると「紳士的に優しい振る舞いをせねば」と意識してしまいます。この手のニットを着た人で悪い人はいないでしょうから。
今回は靴の裏革についてのお話です。
例外もありますが、革靴は表革と裏革の間に芯材(つま先と踵)が入った状態で成形されています。今までご紹介したNEW YORKやOLD ENGLANDといった革は表革として使う素材です。
ブーツ以外の靴では、裏革はこのように構成されています。(2枚とも型紙の画像です)
こちらが先裏という靴の前方部分。足の甲部から指が触れる部分です。
こちらが腰裏という靴の後方部分。主に踵周りに触れる部分です。
裏革は吸汗性、耐摩耗性があり、できるだけ靴下に色移りしない素材がベストです。
delightful toolでは先裏には豚革を。
腰裏には牛革を使っています。
豚革は吸汗性、耐摩耗性、コストパフォーマンスに優れた素材で、靴の裏革に非常に適しています。しかし革としての綺麗さでは多少劣る部分があるため、腰裏には牛革を使っています。靴としての機能性と仕上がりのバランスを考慮して、このような組み合わせを採用しました。
裏革として使っている豚革、牛革は「著名なヨーロッパタンナーの…」といった類のものではありませんが、実際に履いてみて吸汗性や耐久性を確認した上で選んでいます。コストをかけすぎることなく、できるだけ快適に長く愛用できる仕様を心がけました。
数日前、靴の製造工程を解説した本を置いてみました。靴として形になってしまうと見えにくい部分などは、この本や実際の型紙などを見ながら店頭でもお話できればと思っております。実は見えにくい部分にこそ、靴として大切な要素や作り手の考えが詰まっていますので。
届いた靴の箱を開ける。半敷きをセットして、磨いて、靴ひもを通す。写真を撮って、靴を色々な角度から眺める。「こんなシチュエーションで履いたら良さそうだ」「どんな洋服に合わせようか」と想像する。靴を手に取ったお客様、足を入れたお客様からの「かっこいい」「良い靴ですね」の一言が嬉しい。
自分の店舗を持って、やっぱり革靴って良いなと感じています。革靴の良さはもちろん、革靴がある生活の楽しさを少しずつでもみなさまにお伝えしたいです。
今、店頭にはサンプルシューズがずらりと(と言ってもそこまで多くありませんが)並んでいます。
これだけの靴が揃えられたのも、お客様に色々なご提案ができるのも、すべては信頼できる作り手がいてくれるからこそ。
神戸にアトリエを構え、革小物、革靴などの皮革製品を製作しているANCHOR BRIDGE。私が考える靴をきちんと形にしてくれる、最高の作り手です。
私は数年間革靴に携わる仕事をしてきましたが、製品としてクオリティの高い革靴を自分の手で形にすることはできません。ですので革靴に携わってきた経験を生かしてお客様にとって最適なサイズ、デザインや素材の組み合わせを提案することが私の役割。木型、デザイン、型紙、縫製、底付けといった製作工程はANCHOR BRIDGEが行ってくれています。
4年前「ビスポークやフルオーダーとは違う、ハンドメイドのオーダー靴ができないものか…」と考えていた私に協力してくれたのがANCHOR BRIDGEでした。こんな靴をこんな方法でお客様に届けてみたいとの思いに賛同し、様々なノウハウや蓄積を私に託してくれる唯一無二の存在。
後足部をしっかりとホールドし、指先に開放感があるフィッテイングを実現する素晴らしい木型もANCHOR BRIDGEが時間をかけて作り上げたものです。最初のサンプルシューズを履いた時「この履き心地だ!」と確信した木型であり、私にとっては国内外あらゆる靴メーカーの木型よりも優れていると感じました。
ANCHOR BRIDGEが手がける靴は、デザイン、作り、機能性のどこからアプローチしても素晴らしい靴です。delightful toolでは革靴がある生活の楽しさとともに、ANCHOR BRIDGEというパートナーが靴作りにかける思いも、みなさまにしっかりとお伝えしていきます。
足に合った良い革靴を手に入れた。さあ、しっかりと使い込んで良い経年変化をさせよう!そう意気込んで革靴のメンテナンス用品をビシッと一式揃える。きっちり使い続けられるなら、それがベストです。
使いこなせる?ちゃんと続けられる?と不安が頭をよぎった方は、まずこちらから。
ブラシを1本用意してください。後々のことも考えて、コシがある豚毛のブラシが良いです。実際に手で持ってみて、ご自身に馴染む大きさのブラシを選んでください。ブラシは毛の部分が消耗するものの、通常の使用であれば比較的長く使い続けられます。多少高価なブラシ(4,000~6,000円くらいでしょうか)を選んでみても良いと思います。やはり高価なブラシは良い素材、作りになっていますので。
きちんと紐を解いて靴を脱ぐ。靴全体にブラシをかける。2日間休ませる。
この流れを習慣にしていただくだけで、革靴の持ちは変わります。ここから革靴のお手入れを始めるのは、革靴との良い付き合い方だと思います。クリームやクリーナーを用意するのはそれからでも遅くありません。少しずつメンテナンス用品を揃えて、その使い方を身につけていけば革靴のお手入れが習慣になりやすいかなと考えています。日々のブラッシング、是非忘れずにお願いいたします。