ビブラム社の2810ソール

革靴の履き心地、見た目の印象を左右する要素の一つが底材(ソール)です。

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今回はdelightful toolのオーダーシューズでお選びいただける底材をご紹介いたします。

 

いくつか種類がございますので、今回はこちらの靴に使われているビブラム社の2810という底材について。

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軽量性、柔軟性、耐久性を併せ持った底材です。履いた時に感じる軽さ、地面に足をついた感覚はスニーカーに近いと思います。このような感覚が誰にとっても正解ではありませんが、「軽くて柔らかい履き心地」を求められる方には最適な底材です。

 

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この底材にはGumlite(ガムライト)という素材が使われています。(Gumliteはビブラム社が開発した、従来のゴムより軽い発泡ゴム素材)

 

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ヒール部分は本体と一体成型になっています。ヒールのみを外して交換することができませんが、すり減った部分に対してスポンジなどの傾斜板を当てる修理はできます。

 

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真横から見るとこのようなバランスです。(靴本体と底材の間にはミッドソールを挟んでいます)ダイナイトなどのドレスシューズに合わせるラバーソールほどすっきりとはいきませんが、そこまで厚くもなりません。

 

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ビブラム2810は既成のプレーントゥにも採用しておりますので、在庫があるサイズに関してはソールの接地感をご確認いただけます。2810の履き心地を体感したことがない方、一度試してみてはいかがでしょうか。

靴の印象を決める底周りの話

先日までオーダーシューズでお選びいただける革をご紹介してきました。同じ黒の革でも、NEW YORK、BELUGA、OLD ENGLANDのどれをお選びいただくかで仕上がる靴の印象はだいぶ変わります。オーダーをご検討される際には、お好みのスタイルやパンツの太さ、靴をお履きになるシチュエーションなど色々とお話をさせてください。お客様とイメージの共有がしっかりできていると、良い靴が出来上がりますので。

今回は靴の印象を決める、革以外の要素についてお話したいと思います。まずはこちらの画像。

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向かって右と左でだいぶ印象が違います。向かって左がスエード、右がオイルドレザーという質感が異なる革。靴のデザインも異なるのですが、注目するポイントを「靴のボリューム感」に絞ってみてください。この画像の靴は、向かって右も左もサイズは26。同じサイズです。(本来は同じ革で比較すべきところなのですが…)しかし実際は向かって右の方がボリューム感があり、ゴツい印象を受けるのではないでしょうか。

実はこのボリューム感の違いを(革以外の要素で)生み出しているのは「底周りの仕様」です。注目していただきたいのは、コバの張り出し具合。(底材のはみ出し具合と思ってください。コバというのは底材の側面部分を指します。)

 

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向かって右、オイルドレザー靴の拡大画像。

 

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向かって左、スエード靴の拡大画像。

オイルドレザーの方が張り出しが強いですね。ここの張り出しが強い靴は、他の条件(木型、革、サイズなど)が同じであっても見た目のボリューム感が出ます。またオイルドレザーの靴は、底周りをグルッと一周しているウェルトというパーツの形状が違います。

 

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オイルドレザーの靴は、ウェルトの形状がL字になっています。ストームウェルトと呼ばれるものです。

 

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スエード靴のウェルトは平らな形状。平ウェルトと呼ばれています。

一般的にはストームウェルトの方がボリュームが出ます。ストームウェルトは本来、水の染み込みを抑えるための機能的なパーツです。一方スエード靴に使われている平ウェルトは、コバの張り出し具合を加減することでスッキリも見せられますし、ボリュームを出すこともできます。このスエード靴は張り出しをそれほど強くしないように作ってもらっているので、画像のようなバランスに仕上がっています。

靴の底周りに関しては「どんな底材(ソール)を選ぶのか?」が見た目の印象を大きく変えるのは間違いありません。しかし今回ご紹介した「コバの張り出し」は実はなかなか影響が強く、靴の見た目を大きく左右します。靴屋さんに並んでいる靴や、電車内で座っている人の靴を良く観察してみてください。ボリュームがある靴はコバの張り出しが強いはずですし、スッキリ見える靴はコバの張り出しを抑えているはずです。

今回は見た目の印象を中心に底周りの仕様、コバの張り出しについてお話してきました。本来底周りの仕様は機能性があって、その結果として見た目の話になるのだと思います。見た目の話からだと順番が逆かなと思いもしましたが、革靴に関心を持ち始めた頃の私にとって「コバの張り出しで靴の印象ってこんなに変わるんだ!」という気づきは大きなものでした。そこでまずは見た目の話をさせていただきました。もちろん後日、底周りの機能性についてもお話します。

色々な革靴を見た時に「ああ、コバの張り出しってこういうことか」と感じていただければ嬉しいです。

パンチドキャップのブーツ

つま先部分に施された、一文字の切り返しと穴飾り。パンチドキャップと呼ばれるデザインのブーツです。

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表革はC.F.ステッドのスーパーバック。様々な靴メーカーが使っているスエード(起毛皮革)です。ブーツに仕立てたことで、スエードの持つ暖かみが増していると思います。

 

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こちらがバックショット。ウィングチップブーツと同様、カカト周りの切り返しはありません。

 

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底材はビブラム社の#2810(ガムライト)です。軽さ、柔らかさに加えて耐久性にも優れており、個人的に非常に好きな底材。

合わせて、こちらのサンプルシューズはマッケイ製法で底付けを行っておりますので、とても柔らかい履き心地に仕上がっています。

 

昨日ご紹介した黒のブーツが「すっきり、都会的な印象」だとしたら、こちらのスエードブーツは「暖かく、素朴な印象」でしょうか。ライトなカントリーシューズと思って楽しんでいただきたい靴です。

 

パンチドキャップブーツ

甲革:C.F.ステッド・スーパーバック

底材:ビブラム#2810

製法:マッケイ+セメント

オーダー価格:¥75,600(税込)

完成まで2~3ヶ月

ウィングチップのブーツ

本日も新しいサンプルシューズのご紹介です。

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ウィングチップのブーツ。昨日の短靴と同様、こちらも装飾少なめのすっきりした仕上がりです。

表革はゾンタのOLD ENGLAND。キメ細かく、綺麗な革です。スーツや綺麗目のジャケット×パンツスタイルに合わせるには最適な素材。とはいえこの靴のようにブーツに仕立てるなど、デザインや仕様次第でカジュアルスタイルにも活躍してくれます。

 

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つま先切り返し部分の穴飾りは1つ穴。底周り(コバ)の張り出しはほどほどに抑えています。

 

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カカト周りは切り返し無しのデザイン。

 

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底材はハルボロラバー社のスタッドソール(ダイナイトソール)です。ラバーソールでありながらすっきりした見た目に仕上げることができます。

こちらのブーツ、私が想像していた以上に良いバランスに仕上がっています。是非実物をご覧いただければと思います。

ウィングチップブーツ

甲革:ゾンタ・OLD ENGLAND

底材:ダイナイト

製法:9分仕立て

オーダー価格:¥1026,00(税込)

完成まで2~3ヶ月

ウィングチップ

本日新しいサンプルシューズが届きました。

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つま先にW字の切り返しがついたモデル。ウィングチップと呼ばれるデザインです。

 

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ウィングチップは穴飾りなど、装飾のさじ加減で雰囲気が変わります。delightful toolのこのモデルはパーフォレーション(切り返し部分の穴飾り)を一つ穴にするなど、できるだけすっきりとシンプルなウィングチップを意識しています。

革はイタリア製の型押し革、BELUGA(ベルーガ)を使っています。底付け(靴本体と底材の接合方法)はマッケイ製法。柔らかく、最初から足なじみの良い製法です。

 

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底材はビブラムの#2060。軽く、柔らかい底材です。

 

このサンプルシューズの私的イメージは「すっきり、軽やか。カジュアルなウィングチップ」

ですが革、底材、製法をどのように組み合わせるかで、革靴の雰囲気はガラリと変わります。「スーツにも合わせたい」「ジャケット、パンツスタイルに合わせたい」「デニムに合わせたい」などなど…ご自身の考えやイメージを私にぶつけてください。ご要望に合わせた良い組み合わせをご提案いたします。

ウィングチップシューズ

甲革:ベルーガ

底材:ビブラム#2060

製法:マッケイ+セメント

オーダー価格:¥70,200(税込)

完成まで2~3ヶ月

ホーム 靴について ページ 11
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