delightful tool

作り手が丁寧に作りこんだ道具を、使い手にきちんと伝え、届けます。

オーダーシューズに感じる疑問


革靴のオーダーに興味を持って、インターネットなどで色々調べてみると結構ビックリします。

何せ3万円くらいのオーダー靴もあれば、30万オーバーの靴もあるのですから。

「これってどういうこと!?」と思っても無理はありません。そこでオーダーの一般的な仕組みについて書いてみました。

 

 

工程数


オーダー靴の価格を決めているポイントの一つは「工程数」です。工程数が多ければ、最終価格は高くなります。それだけ人の手を沢山動かすことになるからです。色々な工夫で工程数をかけつつ価格を抑える方法もありますが、まずはこのポイントを押さえていただきたいです。

 

 

最初にお伝えしたいこと


「何を目的にオーダーをされるのか?」

「その目的を作り手もしくは販売者は的確に捉えて、十分な説明をしてくれるか?」

靴をオーダーする際には、この2つがとても大切だと考えています。

工程数を多くすればお客様のご要望により深く対応できますが、その分価格は高くなります。工程数を減らせばご要望に対応できない部分も出てきますが、その分価格は抑えられます。作り手、販売者はそのようなバランスを考慮してオーダーの仕組みを決めています。お客様と靴に真摯に向き合っている作り手、販売者であれば目的に合わせた靴を作るために「できること、できないこと」「必要なこと、必要でないこと」などをきちんと丁寧に説明してくれるはずです。

またそれぞれの靴屋さんには得意なスタイルがあります。(中にはどんな靴でも形にしてくれる靴屋さんもあります)例えば丸くてボリューム感がある靴を得意とする靴屋さんに「スッキリ細長い、綺麗な靴」を求めるのは得策ではありません。

delightful toolは「カジュアルにも合わせやすい、適度な丸みとボリューム感がある靴」を得意としております。

 

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木型について


木型とは靴を成形する際に必要な型のことです。この型に革や芯材を被せて革靴は作られます。昔は名前の通り木材で作られていましたが、現在は変質・変形しにくいプラスチック製が主流です。木型はラストとも呼ばれます。

木型によって靴の履き心地が決まると言っても過言ではありません。靴にとって木型はそれほど大切な要素です。

 

 

木型の作製・調整方法


履き心地を決める大切な要素である木型。その木型の作製・調整方法は主に3つのパターンがあります。

 

A. 木型をゼロから起こす

つま先の形状を含めた全てのデザインが自由です。ただし、木型の作製方法は作り手によって異なります。「ある程度形状が出来上がった木型を削り込んで作製」「ベースとなる木型をパテなどによる肉盛りや削り込んで作製」「木のブロックから削り出して作製」などの作製方法があります。

 

B. 肉盛りや削り込みで調整

木型はゼロから起こさず、作り手やショップが持つ木型(ハウスラスト)に肉盛りや削り込みで調整します。作製した木型は注文主専用のものになります。つま先の形状(トゥシェイプ)などは変更できません。

 

C. 肉盛りのみで調整

ハウスラストを肉盛りのみで調整します。(木型の調整無しで靴を製作するケースもあります)木型は注文主専用のものではないため、削り込んでの調整はできません。肉盛りで使用する部材は個別に作製するケースと、用意している調整用パーツを組み合わせるケースがあります。

 

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基本はA, B, Cのいずれかです。Aは最も工程数がかかる分、作製する靴はフィッティング、デザインの両面で自由度が限りなく高くなります。またB, Cの場合はデザインをゼロから起こすかどうかで工程数が変わります。

 

 

仮縫い・仮合わせ


本番の靴を作製する前に仮縫い・仮合わせが入るかどうかも工程数に影響します。仮縫いとは、仮で作製した靴でフィッティングを確認することです。仮縫いでのフィッティング状況に応じて、木型を再調整して本製作に入ります。

仮縫いの考え方や回数はそれぞれの作り手によって異なります。「仮縫いは1回だけ」「回数によって価格を変える」「何回でもOK」など様々です。

 

 

delightful toolの場合


delightful toolのオーダーシステムは「上記C(調整パーツは個別で作製して保管します)+デザインは既存のものから選択+仮縫い無し」となります。ここに靴の製法という要素が加わって全ての工程数が決まります。価格は税込みで約7万~10万円。工程数を抑えて効率化しつつ、履き心地に影響する部分にはしっかり人の手を加えることを私も作り手も重要視しています。

 

 

ビスポーク?フルオーダー?パターンオーダー?


靴のオーダーシステムを表現する言葉には様々なものがあります。例えば「上記A+仮縫い有り」をフルオーダーと呼ぶことは多いですが、「上記A+仮縫い無し」をフルオーダーと呼んでも間違いではありません。フルオーダーやパターンオーダーといった名前の付け方はそれぞれのメーカーやお店が決めているだけです。ただしその名前は、それぞれの靴屋さんがきちんと意図して付けたものです。

 

 

最後に


街で、WEBで、SNSで気になるオーダーの靴屋さんを見つけた時は、是非問い合わせをしてみてください。靴の知識がなくても心配はありません。ご自身の言葉で靴をオーダーしたい目的や疑問をお伝えいただければ、良い靴屋さんはきちんと応えてくれるはずです。

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